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ジャン・バティスト・ジョゼフ・Fu-!!リエ


プロフィール

おかず丸

Author:おかず丸

どうも、おかず丸と申します。はじめましてになるのでしょうか?この名前は勿論本名でございます。疑いの余地はございません。小学校、中学校の時はこの名前のせいで、愚民どもに少なからずいじめられ、両親に向かってなんて名前をつけたんだと、罵ったこともございましたが、今はこの名前を気に入っています。

って、誰が本名おかず丸やねん。



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鵜狩さん4
昼の仕事になかなか恵まれない鵜狩さんは、なんとか次の仕事が決まるまでの生活費を稼ぐために、バーテンダーのバイトを始めることにした。鵜狩さんは学生の頃も一年ほどバーテンを経験したことがあり、その独創的なカクテルで人気を博したこともあった。学生の頃必死に考えたレシピを引っ張りだし、面接で披露すると、そのマスターはえらく鵜狩さんのことを気に入り、鵜狩さんはすぐにカウンターに立つことになったのであった。



カランカランカラン。バーの扉の鈴が来客を知らせんとこだました。時刻は午前一時半。歓楽街に位置するこのバーでは、中年客がアフターのホステスを侍らして来る為、この時間から第二のかきいれ時を迎えることになる。

鵜狩「いらっしゃいませ」

中年「僕はジントニックを。君は?」

ホステス「じゃあ私は、パイナップルフィズで」

鵜狩「かしこまりました」

鵜狩さんの前に座った二人も夜更けの歓楽街にそぐわない客であった。中年客の方は40前半と思しき、俗に言うちょい悪おやじ。ホステスの方は20代後半のお水の旬を少し過ぎた美人であったが、少し痩せすぎていて、顔の部分部分が角張っていた。

鵜狩「どうぞ」

中年「お兄さん、新入りだね。でも腕は確かだ。」

鵜狩「恐れ入ります」

ホステス「お名前は?」

鵜狩「鵜狩と申します」

鵜狩さんがネームプレートを見せて名前を告げた途端、ホステスの方の顔が曇った。それを見た中年客がとっさにフォローした。

中年「いや、すまない。実は彼女は今日席で、“トリガラ”と言って散々いじられたんだ。いや僕の席ではないんだが。それでトリの名前を聞いて不機嫌になってしまったんだ。」

鵜狩「それはそれは失礼しました」

中年「いや、君は悪くないんだ」

ホステス「ちょっと、ごめんなさい」

ホステスはそう言うと、下を向いてトイレに向かった。相当落ち込んでいる様子で、その後トイレで泣いているんだろうということは鈍い鵜狩さんでも容易に想像することができた。

中年「なぁ、彼女を元気づけてあげたいんだ。どうだろう、君は客の要望に沿ったカクテルを作れるかい?」

鵜狩「ご安心下さい。自分は学生の頃二年間バーテンをやっておりましたが、喜んでいただけなかったことはありません」

中年「それは頼もしい。では早速注文することにしよう。そうだな、骨身にまでしみるような優しい味のカクテルがいい。もっと言えば僕に骨抜きになってくれたらこれ以上のものはないよ」

鵜狩「欲張りですね、お客様。かしこまりました。」

早速鵜狩さんは、客に見えないように過去のレシピを調べ、適当なものを選んだ。


しばらくして、トイレからホステスが帰ってきた。

ホステス「遅くなってごめんなさい」

中年「いいんだよ」


鵜狩「どうぞ」

鵜狩さんは渾身の力作をホステスの前に差し出した。それは、白濁し色鮮やかさはまるでなかったが、どこか気高さを感じさせるカクテルであった。

中年「君のために作ってもらったんだよ」

ホステス「…凄くおいしいわ。なにか、身体にしみ込むような味。」

中年と鵜狩さんは、目を合わせて自身の表情を見せ、成功を分かち合った。思えば、鵜狩さんにとって、自分のしたことで誰かを幸せにしたのは久しぶりであった。これは、もう昼の仕事はやめてずっとここで働いてもいいとさえ思うほど、鵜狩さんにとっても嬉しい出来事であった。そのホステスのカクテルを味見させてもらった中年は、満足げにこう言った。

中年「すごい、注文どおりじゃないか。とっても美味しいよ。ところで、このカクテルはなんていう名前なのかな?」


鵜狩「“サムゲタン”です」


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鵜狩さん3
午前七時。鵜狩さんは会社員時代の早起きの癖が未だ抜けずにいた。こう見えても鵜狩さん
は、うっかりした時以外は会社に遅刻したことがないのを自慢にしていた。それにも関わら
ず周りの社員から遅刻魔のレッテルを貼られていた事実は、鵜狩さんのおっちょこちょいさ
を物語っていた。しかし、今はもう遅刻の心配はない。なぜなら、会社はもう辞め、就職活
動も諦めかけているからだ。

鵜狩さんは一人ぼうっとテレビを見ていた。テレビではエレクトーンのお姉さんと、キャラ
クターであろうウサギが笑って時刻を告げた後、元気に「いってらっしゃい!」と言った。

「どこに!!」

鵜狩さんはやり場のない怒りに駆られていた。姿見をふと見ると、赤い目から涙を流す自分
が映っていた。

「やれやれ、俺もウサギだな」

鵜狩さんは、ウサギは寂しすぎると死ぬという話を思い出すと、また涙を流した。



鵜狩さんの気持ちが落ち着いても、まだテレビは「おはよう朝日です」を映し続けていた。
その番組は関西ローカルで、看板アナウンサーがフリーになっても未だ続けられているほど
の人気番組で、長寿番組だ。テレビには美味そうなカレーが映っていて、気分どん底の鵜狩
さんも流石によだれが出た。VTRが終わった後、レポーターがクリップでそのお店の場所
と、合言葉としてその番組を見たと言えば、690円のものが500円になると伝えた。

鵜狩さんは、少しだけ前向きな気持ちになり、そのお店に行くことにした。勿論、美味しそ
うだった、お金が浮くという理由もあったが、鵜狩さんは何か自分を変えてくれるような気
がした。それも初めは迷っていたのだが、番組最後の占いで「外に出て吉」という助言を見
て、鵜狩さんは強く決心したのだった。



鵜狩さんはカレー屋さんで甚く感動していた。そのカレーは大変美味しく、それに加えて人
を前向きにさせる何かを備え持っていた。鵜狩さんは、会社員時代の自分に戻れたような気
がした。明日からまた就職活動頑張ろう、そう決心した。今の自分を面接官が見たら、絶対
採用してくれる。鵜狩さんはその自信と共に、店を出ることにした。

店員「ありがとうございます、690円になりまーす。」

鵜狩「すいません、500円になるって聞いたんですけど?」

店員「あ、テレビを御覧の方ですね、合言葉をどうぞー。」

鵜狩「”おはスタを見た”」



店員「690円になりまーす。」


鵜狩さん2
鵜狩さんは、やっぱり自分が好きな会社に就職したいと思い、日清にターゲットを絞ることにし
た。鵜狩さんは友達に連れられてラーメンを食べに行くことがよくあるのだが、彼が今まで食べ
た中で一番おいしかったラーメンは、「ラ王背油ちゃっちゃ系」だ。好きな食べ物にチキンラー
メンが入ることは言うまでもないぐらい、彼はカップラーメンが好きなのだった。

カップラーメンが好き→カップラーメンは偉い→カップラーメンを考えた日清は偉いの三段論法
で、鵜狩さんにとっての日清は、メロスにとっての結婚式だった。鵜狩さんは日清について、ま
たカップラーメンの歴史について猛勉強し、日清の面接へと駒を進めたのであった。

*

面接官「では、あなたが一番好きなカップラーメンは何ですか?」

鵜狩「僕が一番好きなカップラーメンはやはりラ王です。読んで字の如くラーメンの王様と称さ
   れるこの商品の画期的なところはカップラーメン作りのこだわりともいえるべき麺茹でに
   あると考えます。またスープも麺に絡まるようによく考えられており、味の最高傑作であ
   ると言っても過言ではないと思っています。」

面接官「ほうなるほど。ほかに好きなものはありますか?」

鵜狩「僕はうどんも好きなので、ごんぶともしばしば食べる機会がありますが、カップラーメン
   でありながら、忠実に関西の薄口うどんを表現していると思います。味もさることながら、
   麺にまでこだわりを感じます。普通のそこらへんのうどんよりも10倍おいしいと感じる
   ほどです。」

面接官「ほほう。では、どんべえはどうですか?」

鵜狩「どんべえはきし麺ですよね。いやあ、きし麺はちょっと。」



面接官「今回は縁がなかったことで。」

鵜狩さん1
鵜狩さんは困り果てていた。というのも、最近仕事をなくしたばかりだったのだ。

鵜狩さんは普通の営業のサラリーマンだった。ある日、上司と食堂でご飯を食べる約束をし
ていたのだが、上司の仕事が少し長引いたのだった。そのとき上司は、

「君は先に行って、イス取りだ。」

と言ったのを、鵜狩さんはうっかりして、

「君は正直言って、リストラだ。」

と聞き間違ってしまい、急にリストラ宣告を受けたと思った鵜狩さんは、退職金を貰って次
の仕事を見つければいいかと思いもう会社に行かなかったのだが、一週間後に上司から電話
が来て、ただのクビになってしまった。


鵜狩さんは来る日も来る日も就職活動をし続けた。しかしどの社も笑点で漫才をする若手芸
人の如く滑っていった。筆記テストでは、小野小町を小野妹子とうっかり勘違いして男と思
い込み、かの有名な百人一首をホモの話と解釈し、缶詰会社の面接では、「嫌いな食べ物は
さばの水煮です。」と答えたのだった。


困り果てた鵜狩さんはテレビを見てぼうっと時間をすごすことしかできなかった。しかし、
思いっきりテレビを見ていた鵜狩さんは爆弾という言葉を聞いてあることを思いついた。も
う自分にはこれしかない。鵜狩さんは一世一代のかけに出たのであった。

*

「全員手をあげて、そこに並べ!そしてお前はこれにありったけの金を詰めろ!俺は爆弾を
持っているんだぞ!」

とある銀行にて、鵜狩さんは果敢にして犯罪の銀行強盗を決行したのだった。

「早くしろ!客がぶっとんでもいいのか!?」

銀行は一瞬にして緊張に包まれた。泣きそうになりながらお金をバッグにつめていく女性銀
行員。騒然とする客。しかし、さすがは元世界一と言われた日本警察、五分とたたないうち
にその銀行へとやってきた。

「警察だ!」

「くそきやがったか!」

鵜狩さんは、近くにいた年配女性をひっぱり人質にした。

「こいつがどうなってもいいのか!?俺は爆弾をもっているんだぞ!」

「くっ!わかった、話し合おう。どうして君はお金が必要なんだ?」

「うるさい!お前らになにがわかる!」

「そうか。話したくないのなら仕方がない。とりあえず、その爆弾とやらを見せてくれない
か?」

鵜狩さんの右ポケットには、真っ赤なローズヒップが入っていた。